北方四島の自然資料集

はじめに

北方四島は日本固有の領土であるが、太平洋戦争終結時に、ソ連が占領することとなって、現在に至るまでその状態が継続し、四島の返還は日秀間の外交問題として交渉が行われて来た。平成10年、橋本首相とエリツィン大統領との間で、西暦2千年までに国境線を確定することが合意され、さらに小渕首相と同大統領間で四島の「日露共同経済活動」が合意されるるに至って、にわかに四島の自然保護の問題も、クローズアップせざるをえない事態となって来た。

北方四島の自然は、荒海に囲まれた環境と、気象条件の酷しさ、それに軍事上の重要性によって、戦前から開発は抑えられ、戦後ソ連占領下にあっても同様に、僅かな開発がなされたのみであり、自然保護上の観点からは、「原始の自然が奇蹟的に残された亜寒帯の火山性島嶼」という、世界でも稀に見る貴重な地域となっている。いまこの自然を手つかずに後世に遺すことは、我々に課された使命でもある。しかしながら、戦後50余年の間、政治的理由から、この地に日本人の立ち入りは酷しく制限されて釆たこともあって、自然に関する情報は乏しく、資料の入手も困難であり、例えあっても断片的なものに限られていた。このためその「自然の素晴らしさ」を具体的に語る術を持たないのが現状である。そこで「経済共同活動」が活発化して、自然に悪影響を及ぼさないうちに、いま入手出来る、自然に関する新旧のデータをまとめ、資料集として保護に関心ある方面に配付することを企画した。早急に取りまとめたために、充分なものとはいえないが、とりあえずの目的にかなう資料として役立てば幸いである。またこれを契機として、さらに詳細なガイドブックが作成されることを期待したい。

本資料集作成に際し、貴重な資料をご提供頂き、また有益なご助言を賜った次の方々に厚く御礼申し上げる次第であります。(敬称略)

  • 地理関係:小泉武条(東京学芸大教授)、俵 浩三(北海道自然保護協会会長)
  • 植物関係:大場達之(当基金理事)、俵 浩三
  • 動物関係:藤巻裕蔵(帯広畜産大教授)、和田一雄(元東京農工大教授)


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