孵化後のライチョウの家族1カ月間ケージ内保護手法の確立と実用化

  • 日本アルプス雷鳥研究会
  • 代表者:中村浩志(信州大学教育学部 名誉教授)
  • 助成金額:846,000円(2013年度直接助成)

目的

日本のライチョウは、孵化後1カ月間の雛の死亡率が非常に高い。その原因は、孵化時期が梅雨の時期にあたることによる悪天候とキツネ、テン、オコジョ等による捕食によることが分かった。そのため、孵化後一カ月間家族をケージの中に保護し、悪天候と捕食から人の手で守ってやることにより、この時期の雛の死亡をなくす手法を確立し、実用化することで、生息現地での数の減少を食い止める保護対策に役立てる。

成果の概要

域内保全策の一つとして実用化に向けての目途が立った。今後、今回の成果は以下の3つの保全策に役立てることが可能であると考えられる。

  • ① 生息数の減少が目立つ山岳(南アルプス白根三山など)で、この方法により孵化後の家族を人の手で保護し、雛の生存率を高めてやることで、個体数の減少を食い止める。
  • ② この方法で保護した家族を動物園等での域外保全のための飼育個体として利用する。この方法により、生息現地で母親に育てられた個体は、子育ての方法等生きるすべを身に付けており、人工ふ化し、人の手で育てられた個体より、子育ての繁殖成績が良く、将来の野生復帰に役立つと考えられるからである。
  • ③ この方法で育てた数家族を、絶滅した八ヶ岳、白山、中央アルプスへ再導入することで、繁殖個体群を復活させ、絶滅の危険分散を今のうちから図って置くことに役立つ。

(本文より抜粋)


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